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【知っていると便利なバッテリーの基礎知識】充電回数の計算方法

f:id:sharin0gan:20211106212911j:plain こんにちは、シャリン(@sharin0gan)です!

ポータブル電源・スマホ用モバイルバッテリーで何回充電、という広告をよく見ますが特にモバイルバッテリーで充電回数は、購入の際の重要な指標になります。

そんな時に、知っておくと便利な基礎知識として「バッテリーの充電回数の計算方法」を紹介したいと思います。

計算方法にあたって、基本的な用語と基礎知識について、出来るだけ分かり易い表現で説明しました。 専門知識がなくとも理解し易い内容になっていると思いますので参考にしてください。



電気の基礎知識

今回は電力の計算の例として「jakery ポータブル電源240」を代表して、説明したいと思います。

商品の説明は、こちらの記事が詳しいです。 sharin.shop

jackeryのポータブル電源240の主要なスペックは以下のようになっています。

項目 詳細
商品名 Jackery ポータブル電源 240
電池種別 リチウムイオン電池
容量 241.9Wh
定格出力 200W
AC出力 100V~2A,60Hz
シガーソケット 12V/10A
USB出力 2 x 5V 2.4A,最大24W
動作温度 -10℃~40℃
サイズ 230×133×167mm
重量 3.08kg


この中で、電気に関わる項目がいくつかありますが、重要な用語は、

①「電圧:V(ボルト)」
②「電流:A(アンペア)」
③「電力:W(ワット)」
④「使用量(電池容量):Wh / Ah」

の4項目です。これを理解するだけで、家電製品のスペックについてイメージが出来るようになります。


「電圧:V(ボルト)」は電気を押し出す圧力

比較的馴染みのある用語ですね。電圧は電気を押し出す勢い(圧力)を示しています。

日本の家庭用電源は一般的に100V、EV用充電コンセントで200Vが使用されています。 海外では、日本より高い電圧を使用されていることがあり、日本の家電に使用すると壊れてしまいます。


「電流:A(アンペア)」は電気の流れる量

電流は電気の流れる量を示します。

家庭で電気を使い過ぎるとブレーカーが落ちますが、20A、30A等の電力会社との契約した上限を超えたことによるものです。


「電力:W(ワット)」は電気の仕事量

電流(A) × 電圧(V) = 電力(W) で、電気の大きさを示します。

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電球を購入する際に、60Wや100W等の数字が大きい程、明るい光を出したり、調理機器でWが大きいほど高出力になります。


「使用量(電池容量):Wh / Ah」は1時間あたりに電気を使った量

電気を使った量を示します。バッテリーでは、電池の容量を示します。
1Wの使用が1時間続くと1Whになります。

バッテリー容量は、WhとAhの2パターンで示される事があるので、その関係性を補足説明しておきます。

ややこしいので、必要のない人は飛ばしてもOKです。


Wh と Ahの関係について、

どちらもバッテリー容量を示しており、jackeryのポータブル電源では「Wh」と「mAh」が併記されてますね。
※1mAhは、 1Ahの1/1000です。

スペックがわかっていれば、Whを Ahに換算する事が出来ます。

先程、電流(A) × 電圧(V) = 電力(W) の関係を説明しました。

この公式から、以下となります。

Wh ÷ V = Ah = mAh ÷ 1000

ポータブル電源240の場合は、バッテリーのスペックが、
241.9Wh / 67200mAh / 3.6V ですので、電池容量をmAhで算出する場合、

241.9Wh ÷ 3.6V = 67.194Ah = 67194mAh

となり、換算値がスペック通りの67200mAhになりました。

類似のバッテリーを比較する際に知っておくと、役に立つ事があるかも知れません。


電気の流れを、水の流れに例えてみました

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電源の流れを、貯水槽の水の流れに例えてみました。
貯水槽(バッテリー)の貯水量(電池容量)を電源として、水道の蛇口を通して流れる水量(電流)と、水の勢い(電圧)から溜まった水量(電力)が決まるというイメージです。

【電源の流れを、貯水槽の水の流れに例えた場合】
  貯水槽:バッテリー
  貯水量:電池容量
  電流:水道の蛇口を通して流れる水量
  電圧:水の勢い
  電力:溜まった水量

充電回数について

ポータブル電源や、モバイルバッテリーの充電回数は、これまでに説明した内容から計算できます。


充電回数の計算方法

電源を同じくjackeryのポータブル電源240、充電するのはiPhone13とします。

iPhone13の電池容量は、「3,227mAh」です。

充電回数は、ポータブル電源の電池容量÷iPhone13の電池容量で、

67200mAh ÷ 3227mAh = 20.8回

充電回数は20.8回!となりそうですが、これは違います。

まず、電圧が異なるため、電圧の換算を計算に含める必要があります。

iPhone13の電圧は「3.7V」、ポータブル電源240は「3.6V」ですので電池容量は、

3.6V ÷ 3.7V × 67200mAh = 65384mAh

となります。

また変圧する際に損失が発生するため、これを効率85%とすると、

65384mAh × 85% = 55576mAh

となりました。これをポータブル電源240の電池容量とすると、

55576mAh ÷ 3227mAh = 17.2回

実際の充電回数は、20.8回から17.2回になりました!


まとめ

知っていると便利なバッテリーの基礎知識と充電回数の計算方法の記事でした。

今回は効率85%で計算しましたが、実際はバラつきがあるので、メーカーによって使用している効率が異なります。

但し、効率100%はあり得ませんので、そのような計算で出した宣伝をしている場合は、疑った方がいいと思います。

今回の基礎知識や計算方法を理解しておくと、間違った情報に騙される事なく、正しい情報かどうか見極めするのに役立ちますので参考にしてみてください。

最後まで読んで頂きありがとうございました。シャリン(@sharin0gan)でした。